まとめサイト頻出記事タイトル

・~と話題に

・~に対する~の反応

・~に~騒然

・~な奴ってなんなの?

・~な奴っているの?

・~だけど質問ある?

・~って~なんじゃね?

・~と思う瞬間

・~挙げてくれ

・~にありがちなこと

・~にしかわからないこと

・~ワロタwwwwwwwwww

・~過ぎる件wwwwwwwww

・~は異常wwwwwwwwww

・~がヤバイwwwwwwwww

・~なんだがwwwwwwwww

・~見つけたwwwwwwwww

・~したったwwwwwwwww

・~した結果wwwwwwwww

・出~奴~wwwwwwwwww

 

 当然他にも色々あったり、いくつか被っているものもありますが、キリが良いので20だけ挙げました。これらのような表現は誰しもが一度は見たことがあるのではないでしょうか。あらゆるサイトでテンプレートとして用いられているこのような表現は、あらゆるサイトでテンプレートとして用いられているだけあって、とても柔軟で使いやすくできています。上に並べたものからいくつか見ていきます。

 そもそも、これらのテンプレートに注目し始めたのは、「~と話題に」という表現が胡散臭く、そして多すぎるように感じたからです。これは、起こった出来事がトレンドでもなんでもなくても「~と話題に」と書いておけば不特定多数による反応が捏造できるという、お手軽なステルスマーケティングなわけです。

 「~に~騒然」も近いものがあります。よく、ニュースで「現場は一時騒然となった」などと言っているから、我々は「現場というものは一時騒然となりがちなものなんだ」と思ってしまっており、今日もどこかが何かが起きてその場が騒然となったことに疑いを抱きませんが、騒然なんていうものはそうそうなるもんじゃありません。名探偵コナンの世界では、外界から断絶された館の中で第一発見者が叫び、明らかに死んでいる見た目の死体が死んでいる一室にみんなが集合、口々に「なっ……?」「マジかよ……」「キャー!」「うそ……でしょ……」と言い終えるまでのような状況が「騒然」に当たる筈なのですが、ネット上でたくさん見る「騒然」はここまでヘヴィだったり事件性があったりするわけでなく、かなりライトな出来事に対して用いられている印象があります。悪くいえば、大したことは起きていないのに騒いでいるように見えます。

 大したことは起きていないのに騒いでいるといえば、「wwwwwwwwww」と草を大量に生やす(「w」は「笑い」の省略形で、その形が草や芝に見えることからそう呼ばれる)表現が解りやすい例です。悪質なものでは、引用元のタイトルには「w」が付いていない(付いていても数が少ない)にも関わらず、大量に追加されているのを見ることがたまにあります。「ヤバイ」「異常」「~過ぎる」なども、強調によって注意を引き付ける為によく用いられる表現です。

 上には紹介しませんでしたが、タイトルの末尾に「(※画像あり)」と書かれているのをしばしば見掛けます。文字だけのタイトルをイメージによって補強しているわけですが、わざわざ米印を付けて申告する必要もないしょぼい画像であることが多くあります。

 今、まとめサイトというものは大小数多くあって、どこもアクセス数(広告収入)を稼ごうと日々工夫を凝らしており、それはここまで書いてきたタイトルだけの話ではなく、内容にも及んでいます。時系列を無視して順序を入れ替えたり、アマゾンへのリンクを埋め込んだり、都合よく切り貼りして、フォントをいじくり、さもそれが本来そう読むべき形であったかのようにまとめます。こういった編集の手口は日々巧妙化し、週刊誌やスポーツ新聞に肉薄しているように感じます。

 ところで、まとめブログなどを閲覧中、記事の一覧を眺め、面白そうなタイトルを選び、リンクをクリックすると、別のサイトの記事一覧ページが現れることがよくあります。その場合、先ほど見ようとした記事タイトルをスクロールやページ内検索で探そうとするのですが、どうしてもこれを心底馬鹿げた行為に感じてしまいます。それ故に、目的の記事に辿り着くより先に興味が消え去ることがよくあります。つまり、見たいと思った記事が表示されるべきタイミングで何故か記事一覧を突き出され記事の再選択を迫られるという意味不明なワンクッションがあるわけです。勿論、意味不明と思っているのはぼくだけであって、サイト側は意味が解りまくっています。アフィリエイトのやり口があまりにも露骨です。

 そんなわけもあって、最近はあちこちのニュースサイトなんかをウロウロと見て回ることがなくなりました。似通ったタイトルに埋没している面白そうな記事を掘り出して謎のワンクッションを経て、美少女フィギュアや初回特典付きDVD-BOXのサムネイルに囲まれた一文を読んでタブを閉じる時、山崩しの砂が持っていかれるように、心の中の大切なものを少しずつ失っていくような感覚があります。刺さっている棒が歯槽膿漏の歯のようにぐらついているように感じます。モニタの前で一時間歯ブラシを咥えているより、鏡の前で五分間歯磨きをした方がずっと良い。前置きが長くなりましたが、以上、歯を大切にしようという話でした。